課題とは、プロジェクトに影響を与えるイベントです。スタッフやベンダーの問題、技術的な失敗、資材の不足などが考えられます。これらのイベントは、プロジェクトの成功を妨げたり、プロジェクトチームが目標を達成するのを妨げたりする障害となります。また、調査すべき状況や予期しない責任などによって引き起こされる可能性もあります。こういった課題は(顧客やチームメンバーなどの)外部の観点から見つかるのが普通ですが、定期的、効果的に課題を管理、監視し、プロジェクトのライフサイクル全般にわたってプロジェクトの安定と効率を維持することは、プロジェクトマネージャの責任です。
課題とリスクはしばしば同じ意味で使用され、ほぼ同じことを意味すると思われていますが、同じではありません。基本的な違いはタイミングです。
PMBOKではリスクを、プロジェクトの目的にプラスまたはマイナスの影響をもたらす不確実なイベントまたは状態として定義しています。一方、課題は、すでに発生し、プロジェクトの目的に影響を与えているイベントまたは状態として定義しています。
課題の例:
スタッフまたはベンダーとの問題
技術的または設計上の失敗
資材の不足または遅延
変化への抵抗
スポンサーのサポート中止
課題の管理は危機管理ですが、深刻度はいろいろです。
主要な課題:プロジェクトの進行または正常な完了を妨げる恐れがあり、早急な対応が必要な課題。
懸念事項:主要な課題にはなっていないが、発展する恐れがあるため、常に注意しておく必要があります。
状況:主要な課題あるいは懸念事項に発展する恐れのある状況。
課題管理プロセスは、リスク管理プロセスと非常によく似ています。
課題の特定 – 課題を特定するプロセスです。課題は複数のソースから発生する可能性があります。例えば、メールでの質問や、定期的に開催されるプロジェクト会議などで課題が特定されたら、すぐに記録する必要があります。
オーナーの識別 – 課題が特定されたら、その課題の解決および報告を担当するオーナーに割り当てる必要があります。
課題の分析 – 課題を分析して、緊急性と致命度を判断する必要があります。影響は大きいが緊急性が低い課題では、プロジェクトチームも対策を検討、計画する時間がありますが、緊急性が高く影響も大きい課題はすぐに対処する必要があります。対応が遅れると、プロジェクトに大きな悪影響を及ぼします。
課題の評価 – 同時に複数の課題が発生した場合、それらを比較して優先順位を付けます。
アクションステップの定義 – 課題のオーナーが課題を解決する期間です。
監視とレビュー – プロジェクトマネージャーは定期的にすべての課題をレビューし、更新して、課題が解決されてクローズできるかどうか、課題の影響と緊急性が変化したかどうかを確認します。
課題が持つことができる関係は、次の通りです。
変換 | 課題のワークフローステータスが"クローズ"になった時にこの関係が発生します。課題が別のオブジェクトになりますので、その変遷を追跡することができます。 課題は、タスク(1-1)に変換できます。 | |
添付 | リスクを別のオブジェクトに添付し、相互に共有する要素の一部あるいはすべてを関連付けることができます。このコネクションは、自由に作成、削除することができます。 課題には、アクション(1-N)、添付(1-N)とバックログ項目(N-N)を添付することができます。 | |
重複と添付 | 課題がワークフローの"重複"ステータスに達すると、この関係が発生します。重複になった課題は、別の課題と親子関係を持つことができます。 コネクトする際、課題を別の課題(N-N)に添付することができます。 |