Sciformaでは、クリティカルチェーンプロジェクトの管理に、計画モードと追跡モードの2つの異なるモードを使用します。プロジェクトの進捗を追跡するには追跡モードにします。追跡モードに切り替えると、次の処理が行われます。
プロジェクトのスケジュール方向が"フォワード"に設定されます。
タスクスケジュールのオーバーランを吸収できるよう、すべてのバッファがロックされます(タスクフィールドのバッファロックで確認可能)。
タスクのスケジュールタイプをALAPからASAPに変更した時にタスクが移動しないよう、タスクの固定日フィールドを設定します。固定日を設定することで、できるだけ早くとできるだけ遅くの差によるタスクのスケジュール移動を防ぎます。
すべてのタスクのスケジュールタイプをASAP(できるだけ早く)に切り替えます。
計画モードと追跡モードは、必要に応じて自由に切り替えることができます。スケジュールに特定の変更を加えない限り、モードを切り替えてもスケジュールには影響はありません。
クリティカルチェーンプロジェクトの進捗管理とは、次のことを意味します。
プロジェクトを遅くも早くもなく、予定通りに開始する。
リレー競技のように、できるだけ早くタスクを終了するようリソースを励ます。
実績データを使ってスケジュールを更新する。
先行タスクが早期に終了したら、固定日を調整する。
バッファを管理する。
プロジェクトのベースラインは、計画と実際の隔たりを計測するために使用します。正確なベースラインがあってこそ、パフォーマンスの計測が意味を持ちます。プロジェクトのベースラインは、計画時の期間、工数、コストの情報です。プロジェクトのベースラインは、プロジェクトの実行と管理活動の前にキチンと定義され、文書化しなければなりません。
プロジェクトの実行がスタートすると、プロジェクトのベースラインを使って変更管理を行い、あらゆる変更とプロジェクトへの影響を評価します。スコープ、コスト、スケジュールの変更を厳密に管理しなければ、意味のある計測をすることはできません。変更が承認されると、(その変更を織り込んだ)新しいベースラインをオリジナルの計画として保存し直す必要があります。計画が時間の経過とともにどのように進捗し、変化するのかを記録することは良い考えです。
プロジェクト要件の度重なる変更は、最初の要件分析が不完全だったか、プロジェクトの初期段階でユーザーと顧客のコミュニケーションが不足していたかを示しているのかもしれません。
Sciformaではプロジェクトごとに14までのベースラインを保存し、プロジェクト変更の履歴を記録しておくことができます。
Sciformaで現在のデータと特定のベースラインに記録されたデータを比較するには、現在のベースラインを選択する必要があります。
プロジェクトレベル | タスクレベル | 割り当てレベル |
---|---|---|
|
|
|
プロジェクトレベル | タスクレベル | 割り当てレベル |
---|---|---|
|
|
|
クリティカルチェーンプロジェクトはスケジュールが完ぺきではないという認識から出発するものなので、CCPMプロジェクトの予算計上は、クリティカルパスプロジェクトほど簡単ではありません。それでも、客先への見積や内部管理、報告のために、スケジュールに基づいた予算を要求されることがほとんどです。
クリティカルチェーンの最終計画が、すべてのタスクの成功率を50%と想定して計画したものだとします。失敗する確率も50%あるこの計画のまま予算を計上するわけにはいきません。適切な安全余裕にある予算を計上するには、工数と費目を調整する必要があります。Sciformaでは、そのためのツールを用意しています。クリティカルチェーンベースラインの保存コマンドを使うと、マージンパラメータを指定してタスク期間を増加させ、結果としてコストと工数を増加させ、増加した期間をベースにスケジュールを変更することができます。Sciformaは、変更した計画全体を指定したベースラインに保存し、保存後にスケジュールを元に戻します。
ガントチャートの準備と表示に使用するメソッドに関係なく、進捗を計測することは、すべてのタスク(あるいはタスクの一部)の完了部分が日付カーソルの左にあるかどうかをチェックすることに他なりません。このチェックで、実行が遅れているすべてのタスクが明確になります。ガントバーは進捗を表すのに使用できます。このため、ガントチャート上の参照日に縦の線として表示される日付カーソルが追加されます。
Sciformaではこの参照日を現在日と呼びます。
基準にする日は「今日」でなくても構いません。計算の基準を来週の月曜や明後日とするのが便利な場合もあるでしょう。ただし、基準日を数日後にすることは滅多にありません。それまでに変更が発生する可能性が高いからです。
現在日は、タスクがその日まで完了していることを示す完了日とは異なります。