プロジェクトマネージャー、スポンサー、プロジェクトチームは、日々の活動に追われ、プロジェクトの状況を認識できないことがよくあります。
プロジェクトヘルススコア指標は、主観的あるいは量的な値に基づいた指標で、プロジェクトの健康状態を表します。プロジェクトマネージャはこれを使い、プロジェクトが失敗したり、悪い方向に傾いたときに、潜在的な遅れに積極的に対処することができます。
Sciformaでは、ヘルススコアは3つの指標で評価されます。コスト、品質、期間の3つの指標は、プロジェクトマネジメントの鉄の三角形に相当します。
グローバルスコアはこれらの値の組合せで、最大値100で表示されます。
グローバルスコアは、(期間ウェイト x 期間スコア + コストウェイト x コストスコア + 品質ウェイト x 品質スコア) / (ウェイト合計) の式で計算されます。
値が高いほど、プロジェクトは健康です。
スコア指標はすべて整数ですので、値によっては四捨五入されるものもあります。
プロジェクトヘルススコアを簡単に分析できるよう、プロジェクト間で同じ指標を使用することを強く推奨します。
例えばあるプロジェクトにデッドラインがあり、別のプロジェクトにはデッドラインがない場合、期間スコアとして同じ指標を測定しないため、混乱を招く可能性があります。
コスト、期間、品質のデフォルトのウェイトを定義することができます。
システム全体
プロジェクトレベル
次のようにウェイトを定義します。
優先度高(=3)
優先度中(=2)
優先度低(=1)
2つの指標に同じ優先度を設定することができます。
また、ビジネスケース、プロジェクト、プログラム、製品の内の特定の種類のプロジェクトでだけ利用することもできます。
ヘルス指標(RAGまたは信号指標とも呼ばれる)は、Sciformaによって自動的に計算され、主にプロジェクトの進捗状況の測定、是正措置の必要性の確認、ステークホルダーの期待管理を目的とした、プロジェクトの状況報告に使用されます。
ヘルススコアを有効に活用するには、それぞれの色が何を示しているのかをプロジェクトチームが共通認識として持つことが必要です。企業によって異なる場合もありますが、推奨される定義は次のとおりです。
緑(青信号):プロジェクトの現状は、プロジェクトに悪影響を及ぼす危険性はなく、プロジェクトは当初の計画通りに実行されています。是正措置や対策は必要ありません。
琥珀(黄信号):プロジェクトの目標にマイナスの影響を与える可能性のある問題が存在しますが、まだ対処は可能です。
赤(赤信号):プロジェクトが当初の目的を達成するためには、是正措置が必要な重大な問題が存在します。
システム管理者は、これらの色指標をカスタマイズすることができます。
期間スコアは、ベースラインギャップ、デッドラインギャップ、アジャイルの値、フェーズ&ゲートの値、CCPMの値をベースに算出されます。
期間スコアは、次の5つの期間指標によって決まります。
ベースラインギャップ
デッドラインギャップ
アジャイル
フェーズ&ゲート期日遵守
CCPM
期間スコア = 100 - ((ベースラインギャップの値 + デッドラインギャップの値 + アジャイルの値 + (100 – フェーズ&ゲートの値) + CCPMの値) / (期間指標の数))
例:
次の3つの期間指標のあるプロジェクトを例にとります。
ベースラインギャップ:14%
デッドラインギャップ:10%
フェーズ&ゲート期日遵守:20%
期間スコアは50になります。
期間スコア = 100 – ((14+10+ (100–20)) / 3) =50
ベースラインギャップの値は、プロジェクトベースラインが保存されていない限り計算されません。
複数のベースラインを保存している場合、現在のベースラインの値で計算されます。
ベースライン開始日ギャップとベースライン終了日ギャップの平均値
ベースライン開始日ギャップ:プロジェクト開始日と現在のベースラインの比較(プロジェクト期間に比例)
ベースライン終了日ギャップ:プロジェクト終了日と現在のベースラインの終了日の比較(プロジェクト期間に比例)
フェーズ&ゲート指標は、作業ワークスペースのフェーズ&ゲートタブで利用できるフェーズ&ゲート機能を使うプロジェクトでしか計算されません。
指標の値は、ゲートの合計数に対する計画通りのゲート数の割合を示す期日遵守率です。
コストスコアは、実工数とベースラインのギャップ、請求と利得の値をベースに計算されます。
コストスコアは、次の4つのコスト指標によって決まります。
ベースラインギャップ
予算ギャップ
請求
利得
コストスコア = 100 - ((ベースラインギャップの値 + 予算ギャップの値 + (100 – 請求の値) + (100 - 利得の値)) / (コスト指標の数))
例:
次の3つのコスト指標のあるプロジェクトを例にとります。
ベースラインギャップ:14%
予算ギャップ:10%
利得の値:20%
コストスコアは66になります。
期間スコア = 100 – ((14+10+ (100–20)) / 3) = 66
ベースラインギャップの値は、プロジェクトベースラインが保存されていない限り計算されません。
複数のベースラインを保存している場合、現在のベースラインの値で計算されます。
工数ベースラインギャップとコストベースラインギャップの平均値
工数ベースラインギャップ:総工数と現在のベースライン工数の比較
コストベースラインギャップ:総コストと現在のベースラインコストの比較
予算ギャップの値は、予測機能を使っているかどうかで変わります。
予測機能を使っていない場合は、予算ギャップの値はプロジェクト総コストとプロジェクト予算コストの比較です。
予測機能を使っている場合は、予算ギャップの値はプロジェクト予測コストと予算コストの比較です。
品質スコアは、計画の問題、リソースの問題、トランザクションの問題、ステータスレポート、作業項目、アジャイル指標、戦略指標をベースに計算されます。
コストスコアは、次の5つの品質指標によって決まります。
ステータスレポートの値
問題の値
ワークオブジェクトの値
アジャイルの値
目標ヘルス値
品質スコア値 = 100- ((100 – ステータスレポート値 + (100 – 問題値) + (100–ワークオブジェクト値) + (100 – アジャイル値) + 目標ヘルス値) / (品質指標の数))
例:
次の2つの品質指標のあるプロジェクトを例にとります。
ワークオブジェクト値:20%
問題の値:67%
品質スコアは46になります。
期間スコア = 100 – ((100 – 25) + (100 – 67)) / 2) = 46
ステータスレポートの値は、ステータスレポートが提出されていない限り計算されません。
複数のステータスレポートを提出している場合、最新のレポートの値で計算されます。
値は、ステータスレポート指標の値の合計をステータスレポート指標の数で割ったものです。
ステータスレポート指標の値は、次のように定義されます。
期間、コスト、スコープ指標の値:
赤 = 0
オレンジ = 50
緑 = 100
傾向指標の値:
赤 = 0
グレー = 50
緑 = 100
例:
次のステータスレポート指標の場合、品質スコアは62%になります。
品質スコア = (100+50+100+0)/4 = 62%
問題の値は、計画、リソース、トランザクションの問題の平均値です。
計画問題スコア = 問題のあるタスクの数 / タスクの合計数
リソース問題スコア = 割り当てとリソース配置の問題の合計(専任、配置済み、コミット済み)
リソース割り当てについては、割り当てられたリソースの数に対する問題のあるリソースの数を考慮します。
専任、配置済み、コミット済みのリソースについては、領域外割り当て(問題のあるリソース数 / 専任、配置済み、コミット済みのリソース数)を考慮します。
トランザクション問題スコア = “オープン”になっている過去の(予測あるいはコミット済み)トランザクションの数 / トランザクション合計数
完了したタスクはクローズすることで、問題のあるタスクとして表示されなくなります。
ワークオブジェクトの値は、作業項目(アクション、課題、成果物、変更要求、リスク)の値です。
有効な作業項目だけが考慮されます。
ワークオブジェクトの値は、課題スコア、リスクスコア、(100 – 成果物スコア)、(100 – アクションスコア)、(100 – 変更要求スコア)の平均値です。
課題スコア:課題の合計数に対する完了した課題の数
リスクスコア:リスクの合計数に対する完了したリスクの数
成果物スコア:成果物の合計数に対する期限を過ぎて完了していない成果物の数
アクションスコア:アクションの合計数に対する期限を過ぎて完了していないアクションの数
変更要求スコア:変更要求の合計数に対する期限を過ぎて完了していない変更要求の数
アジャイル指標は、アジャイルアプローチを使うプロジェクトでしか計算されません。
アジャイル指標の値は、タイプが“課題”あるいは“欠陥”のバックログ項目の合計数に対するタイプが“課題”あるいは“欠陥”のバックログ項目の完了数の割合を示す欠陥解消効率(DRE)です。