リソースのスケジューリング

プロジェクトの工程を計画する際、プロジェクトマネージャは割り当てられたリソースをどこに配分するかを考えます。リソースの割り当てが過剰になると、プロジェクトマネージャはそれを解消しなければなりません。リソースの重複割り当てを解消することをリソースを平準化するといいます。

過剰割り当ては、複数のタスク間あるいは1つのタスク内で発生します。リソース競合は、同じリソースが複数の同時並行タスクに割り当てられた状況です。このような場合、どちらかのタスクの開始日をずらすことで重複による過剰割り当てを解消します。同じタスク内でのリソースの過剰割り当ては、特定のリソースに規定以上の多くの時間が割り当てられている状態です。この場合は、タスクを遅らせることでは問題は解決しません。

過剰割り当ての自動解消

Sciformaでは重複するタスクに対し、まだ開始していないタスクには開始遅延を設定し、進行中のタスクにはタスク分割(タスクの未完了部分を後日に移動)を行うことで平準化を行います。リソースの割り当てを変更するわけではなく、タスクの開始日をずらすことで重複タスによる過剰割り当てを解消するものです。タスク間の過剰割り当てが複数のリソースに対し起こった場合、Sciformaでは競合する割り当てだけを遅らせるか、タスクのすべての割り当てを遅らせるかを選ぶことができます。Sciformaでは時間単位、日単位、週単位、月単位でリソースを平準化することができますが、週単位で行うのが最も効果的です。

過剰割り当ての手動解消

Sciformaには自動平準化機能がありますが、状況に応じて手動でリソースを平準化しなければならないケースもあります。プロジェクトマネージャの責務の1つは、プロジェクトを通してリソース全体の利用を分析し、最適化することです。

すべての過剰割り当てを平準化する必要はありません。状況に応じて、短期間の間ある程度の過剰割り当てを認める場合もあります。スケジュール、リソース、コストなどの要素の内、何を最優先するかを判断することが重要です。プロジェクトマネージャは、リソースを平準化する際にこういった決定を迫られます。

また過剰割り当てだけでなく、リソースの過少割り当てにも注意を払わなければなりません。過少割り当てのリソースはフル活用されておらず、別のタスクの手助けとなる可能性があります。さらに、別のプロジェクトを手伝ったり、別のプロジェクトに配置し直せる可能性もあります。すべてのリソースをフルに活用できることが最良です。しかし、現実にそれを達成するのは難しいといえます。

次の表は、プロジェクトマネージャがリソースの平準化を行う場合のメソッドをまとめたものです。タスクの遅延や分割を除いては、手動で操作する必要があります。Sciformaは、スケジュールとコストへの影響や、平準化の結果を分析できるツールを提供しています。

メソッド

スケジュールインパクト

コストインパクト

スコープインパクト

タスクの遅延

遅延されたタスクがクリティカルパス上にあるか、クリティカルでないタスクがフロート外に出た場合、影響あり

クリティカルタスクが遅延されると、プロジェクト期間も延長

タスク期間の延長

クリティカルタスクの期間が延長されるか、クリティカルでないタスクがフロート外に出た場合、影響あり

クリティカルタスクが延長されると、プロジェクト期間も延長

リソースの追加、置換

新規リソースの学習カーブを考慮する必要あり

代替リソースの方がコストが高い可能性あり

リソースの作業時間を増加

スケジュール短縮の可能性あり

残業費用発生によるコスト増加

タスクの分割

タスクがクリティカルか、タスクがフロート外に出ると影響あり

スケジュール延長および非連続作業での効率悪化によるコスト増加の可能性あり

スコープ変更

作業量の減少、質の低下などにより短縮の可能性あり

短期的にはコストは減少するが、長期的には増加する

品質の低下

タスクの関連性変更

スケジュール短縮の可能性あり

ジョブのアウトソース

コスト上昇の可能性あり

最良の方法は?

効率よく、有意義にリソースを平準化するには、次のことを心掛ける必要があります。

  • リソース平準化は、数学的な問題ではありません。プロジェクトマネージャは、タスク期間中にどれだけの工数が必要かを考えるだけではいけません。 実行する作業によって、何が有効かを考えなければなりません。人数をかけることで短期で終了するタスクもあれば、作業を分割することで調整が複雑となり、時間がかかることで、タスクの期間が延びることもあります。

  • 偏見を持たない。リソースを平準化する場合、多数の代案が存在します。

  • 並行して複数のタスクをこなすことに意味がある場合もありますし、1つのタスクに選任することが実際的なこともあります。

  • 別のやり方を考えてみることも有益です。

  • 全体のワークロードを考えることが必要です。多数のタスクをこなすよう要求することは、効率的ではありません。

  • 細かすぎるようにならない。実際、計画は予測の上に成り立っています。プロジェクトの実行中でもタイムラインは変わります。良いリソース平準化には、細部やマイクロマネジメントにこだわらず、今後どうなるかの全体像に焦点を当てることが必要です。ただし、あまり遠くの将来を気にするべきではありません。今後6か月のスケジュールを時間単位で平準化する必要はありません。リソースの平準化とは、妥当なスケジュールを作ることであって、完全に正確なスケジュールを作ることではありません。精度を上げようとすればするほど、細かい変化にも調整が必要になります。

  • リソースの平準化はプロジェクト管理プロセスの重要な作業で、いつも自動処理で済ますことはできません。自動ツールも役に立ちますが、従来の常識にとって代わるものではありません。リソースは人間が管理するもので、機械が管理するものではありません。