プロジェクト予算

どんなプロジェクトでもコストは発生します。プロジェクトの規模が大きく、複雑であればあるほど、その実行には期間と金額もかかるようになります。リソースは無制限ではないので、すべてのプロジェクトに予算が必要となります。

プロジェクト予算とは、計画された期間でプロジェクトを完了させるために必要なコストの総計を予測したものです。

予算管理の目標は、プロジェクトコストを承認予算内に収め、期待されるプロジェクトのゴールを達成することです。

プロジェクト予算計画を持つことは、次の3つの理由から重要です。

  • プロジェクトの資金を確保するために不可欠です。

  • プロジェクトのコスト管理の基礎となります。

  • 企業の財務的な存続に直接影響します。

Sciformaでは、コストセンターは予算の管理とコストの消し込みに使用する主要なツールです。

コストセンターは、予算の定義にも使用します。予算をコストセンターとして振り分け、構造化することでシステム内のポートフォリオレベル、プロジェクトレベルに予算を配分します。

コストセンターの予算は、金額(コスト)あるいは工数で定義されます。

設定

予算タイプ(コストあるいは工数)は、システム管理者がシステム設定ワークスペースの予算/財務設定フォルダーで設定します。

コストセンターには、"アクティブ"と"非アクティブ"の2つのワークフローステータスがあります。コストセンターが"非アクティブ"になると、ユーザーはそのコストセンターを割り当てることができなくなります。ただし、プロジェクトに配置後にステータスが非アクティブになったコストセンターは、ステータスがアクティブなコストセンターと同様に管理されます。

プロジェクト予算の定義

プロジェクトマネージャは、プロジェクトのタスクを完了するために必要な予算を見積もる責任があります。プロジェクトのすべてのタスクにコストを配分し、社内外の人的資源、設備、旅費、材料、消耗品のコストなど、プロジェクトのすべての側面を考慮する必要があります。

Sciformaでは、3種類のアプローチを使ってプロジェクト予算を定義することができます。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチでは、個々のタスクと各インプットのコストを見積もり、それらを合計してプロジェクトの総コストを算出する必要があります。プロジェクトのすべてのタスクを決定し、人員、設備、材料などの必要なリソースを決定するために、詳細WBSが必要です。

ボトムアップ式の見積は、プロジェクト予算を作成するための最良かつ確実な方法の一つですが、時間がかかります。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチは、プロジェクトの総予算が決まっていて、プロジェクトの個々のタスクのコストを知る必要がある場合の予算見積もりです。この場合、与えられた予算で実行できるタスクや成果の数を決めます。固定予算をWBSを使って細分化し、その予算で達成できるタスクの数や量を決定します。

予測アプローチ

このアプローチでは、ピボットを選択することでタスクのコストを定義する標準値を使用します。

注記

詳しい説明は、予測をご覧ください。

プロジェクト予算の実行

プロジェクトの予算の検討と承認が終わったら、次のステップとして予算ベースラインを作成します。

ベースラインとは、プロジェクトマネージャが予算のパフォーマンスを測定、監視するために使用する時間軸に沿った予算のことです。

予算ベースラインは、出来高計算を使って予算をコントロールし、プロジェクトの進捗状況に応じたパフォーマンスを判断します。

プロジェクト予算のコントロール

予算のコントロールとは、プロジェクトの経費が予算計画通りに実行されているかどうかを確認する活動で、逸脱した部分を特定し、是正措置を講じるのに役立ちます。

これには通常、出来高分析を使います。

出来高分析(EVA)とは、基本的なコストとスケジュールのレポート確認を超えて、プロジェクトマネージャがプロジェクトで実際に行われた作業の量を測定することができる手法です。

S_Curve.png

EVAでは、次の分析が可能です。

契約に関する予算とコスト

ビジネスマネジメントを考える際、企業内の多くのプロジェクトが相互に関連していることに気づきます。相互関係にあるプロジェクトは、目的が共通しているだけでなく、予算などの財務面でも共通している場合があります。

Sciformaでは、プロジェクト予算は契約(階層コネクションのみ)で管理することもできます。

契約とは、期間予算成果物に関してソースオブジェクトのマネージャと、それにコネクトされたオブジェクト(ターゲットオブジェクト)の担当者が合意する条件です。

ソースオブジェクトの予算の一部をサブプロジェクトとワークパッケージに委譲することもできます。委譲予算には、ソースオブジェクトレベルに定義されたコストセンターだけを利用できます。

契約に関連するプロジェクト予算は、次のように計算されます。

総予算 = 直接予算 + 間接予算 - 委譲予算

説明:

  • 直接予算 – コストセンターの期間配分予算の合計

  • 間接予算 – 他のプログラム/製品との契約で受け取る期間配分予算の合計(各項目は予算を提供するプログラム/製品で定義)

  • 委譲予算 – 契約を介して他のプロジェクトに提供する期間配分予算の合計(各項目はコストセンターあるいは他のプロジェクトに提供する予算を持つプログラム/製品で定義)

プロジェクトの総コストは、次のように調整されます。

調整後総コスト = 総コスト + インバウンドコスト - アウトバウンドコスト

説明:

  • 総コスト – 期間配分されたリソースコスト、費目コスト、トランザクションコストの合計

  • インバウンドコスト – コストを再配分したプロジェクトからの期間配分コストの合計(各項目はコストを配分するプロジェクトで定義)

  • アウトバウンドコスト – 他のプロジェクトに配分する期間配分コストの合計(各項目はプログラム/製品とコストセンターに関連付けられていないコストに適用される配分率で定義)

使用例

製品、プログラム、プロジェクトがコネクトされている例を考えてみます。

製品レベルで予算とコストを追跡したいとします。

Budget_Contract.png

製品総予算 = 直接予算 + 間接予算 - 委譲予算 = ¥1,450,000 + ¥100,000 - ¥50,000 = ¥1,500,000

Cost_Contract.png

調整後総コスト = 総コスト + インバウンドコスト - アウトバウンドコスト = ¥480,000 + ¥60,000 - ¥96,000 = ¥444,000