ステータスレポート

プロジェクトのステータスを繰り返し報告することは、プロジェクトの制御と監視にとって重要です。ステータスの報告には通常、特定の時点でのプロジェクトのステータスに関する情報を記載したドキュメントが使われます。

ステータスの報告には、次の目的があります。

  • さまざまな関係者との有効なコミュニケーションに役立つ

  • プロジェクトの歴史を提供する

  • 課題やリスクが発生する前に早期に発見する

  • 必要に応じて決定を支援する

  • 教訓の識別に役立つ

プロジェクトのステータスレポートは、すべてが関心事のさまざまな要素で構成されます。ただし、レポートの主要な目的は、関係者との効果的なコミュニケーションですので、プロジェクトマネージャはレポートを簡潔に取りまとめ、正しい読者に正しい情報を伝える必要があります。

レポートをまとめる上で、まず頭に入れなければならないのは対象とする読者です。例えばクライアント用のレポートには、プロジェクトのコストと予算に関する情報が除外されるのが一般的です。

対象読者によって、説明文も調整することが必要です。例えば、チームメンバーの場合はおおよその現状をすでに知っているので、ステータスに関する情報は簡潔にし、次のステップに関する情報を多くします。

レポートを発行する頻度によっても、ステータスレポートの内容は変わります。頻繁に発行する場合は、より簡潔にすべきです。通常は、毎週、毎月、毎四半期などのペースで発行します。

良いステータスレポートは、程よいレベルの詳細と簡潔な分析で構成されています。レポートを作成する際は、次の点に留意してください。

  • 対象読者のニーズに応じてレポート内容を調整する。

  • 簡潔で読みやすくを心掛ける。

  • 適切なセクションに分割する。

  • レポートの送付間隔にふさわしい内容である。

指標

通常は色を付けて表示されるステータスレポート指標は、読者の注意を一番に惹くものです。プロジェクトマネージャの分析をベースにした、重要な業績評価情報を示します。

指標は、プロジェクトの特定のポイントに関する主観的な評価ですが、安易に決めるべきではありません。指標の緊急性を正確に伝えるため、色の基準を明確に定義することをお奨めします。誤って緊急事態だと思わせたり、逆に緊急事態を正しく伝えられないことが無いよう定義するべきです。

最もよく使われるのは、RAG指標(信号色)です。コスト、期間、スコープなどのプロジェクトの主要な状況を総合的に評価するのに使われます。

一般的にRAG指標は、次のように定義できます。

Thumbs___Positive.png

(青信号)

すべて良好です。

Thumbs___Neutral.png

琥珀(黄信号)

プロジェクトの進行に注意が必要です。

Thumbs___Negative.png

(赤信号)

状況は深刻で、適切な対応が必要です。

同様にステータスレポートによく使われるトレンド指標は、RAG指標とは異なり、プロジェクトの現状ではなく、次のステータスレポートまでの変化の傾向を予測するものです。トレンド指標は次のように使用します。

TrendGreen.png

プロジェクトの指標は、次の期間で上昇する見込みです。

TrendGrey.png

変わらず

プロジェクトの指標は、次の期間も変わらない見込みです。

TrendDown.png

プロジェクトの指標は、次の期間で下降する見込みで、対応策を取る必要があります。

説明

ステータスレポートは指標だけで成立するわけではありません。レポートには、特定の指標、過去あるいは将来の重要イベント、今後のステップなどの重要な情報を言葉で説明するプロジェクトマネージャのコメントも必要です。

説明文は、対象読者が読みやすいよう簡潔(効果的な言葉使い)で、きちんと構成されている必要があります。

実際のデータ

指標と説明を裏付けるため、プロジェクトの実際のデータをレポートに入れることも必要です。対象読者、使用するメソッド、レポートの頻度によってデータの種類も変わります。

最も一般的なのは、次のようなデータです。

  • プロジェクト名、主要な日付といった一般的なプロジェクト情報

  • マクロ計画、重要マイルストン

  • 課題とリスク

  • 教訓

上記だけではなく、例えばアジャイルを使ったプロジェクトならアジャイルのタイムラインや、組織の上部に提出するレポートでは予算に関する情報などもレポートに入れることができます。

プロジェクト履歴

プロジェクトステータスレポートは、特定の時期に撮ったスナップショットです。このスナップショットはプロジェクト実行に伴い、繰り返し撮られます。レポートは、スケジュールを遵守し、みんなと情報を共有するための手段であると同時に、プロジェクトの歴史をたどるための完璧なツールになります。主要な要素の概要と変遷の情報を提供するだけでなく、教訓を記録することで、将来の同様のプロジェクトをより効率よく管理できるようになります。